VOL.12

犬がトイレを覚えない時の対処法


犬と一緒に暮らしていると「トイレの失敗」が悩みの種になることがあります。何度も何度も教えているのにうまくいかなくて、中にはイライラしてしまうほどに焦りを覚えている飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。ということで今回は、愛犬がトイレを覚えない時の対処法をご紹介します。


そもそも犬にはトイレで排泄する習性がない


まず大前提として、犬にはトイレで排泄する習性がありません。

ワンちゃんはキレイ好きなので「寝床では排泄しない」という習性を持っています。ただ、寝床以外ならトイレの場所はあまり気にしません。トイレという定位置で排泄する行為は、人間がワンちゃんを飼うために必要なことであって、犬にとってはそこまで重要なことではないのです。

もし飼い始めた時にすでにトイレを知っているワンちゃんがいたら、それは誰かが教えたからです。ペットショップの店員さんやブリーダーさん、前の飼い主さんなど、愛犬が今の飼い主さんの元にくるまでの間に誰かがトイレをしつけたはずです。犬が最初からトイレを知っていることはありません。犬には人間がトイレの場所を教える必要があることを、あらためて頭に入れておきましょう。


トイレを覚えてもらうために、まずは環境を見直す


犬にトイレの場所を覚えてもらうためには、トイレ周りの環境が整っていることが大切です。ポイントとしては次の3点です。

・大きさ
・場所
・足元の踏み心地


まずトイレの「大きさ」についてです。犬はくるくるとその場を回って体勢を整えてから排泄する傾向があるので、愛犬の身体の2?3倍ほどの大きさのトイレが望ましいです。子犬の頃はできたのに大人になってからトイレを失敗するワンちゃんは、成長したことでトイレの大きさが小さくなってしまった可能性があります。

次に注目すべきは、トイレを設置する「場所」です。トイレ周辺が狭くて圧迫感があったり、トイレまでの道のりにドアがあったりすると、愛犬がトイレにたどり着けず粗相の原因となります。トイレは、サークルで囲むにしても愛犬がくるくる回れるだけのスペースを確保し、かつ愛犬が自由に行ける場所に設置しましょう。また、人の出入りが多い場所は落ち着いて排泄できないので、できれば静かなところにトイレを置きたいところです。

そして盲点となりやすいのが「足元の踏み心地」です。犬はふかふかとした踏み心地の場所で排泄したくなる傾向がみられます。また、トイレシーツを覚えたとしても、トイレシーツと似たような踏み心地のマットやじゅうたんなどをトイレシーツだと勘違いして粗相するパターンもあります。トイレをしっかりと覚えるまでは、紛らわしい踏み心地のものを身近に置かないよう気をつけておくといいでしょう。


愛犬のトイレトレーニング中の、飼い主さんの心構えとは


愛犬のトイレトレーニングを成功させるためには、トイレでうまく排泄できた時に必ず「褒める」ことが重要です。ご褒美としてオヤツを与えてもよいでしょう。「ここで排泄すると褒められるし、ご褒美までもらえる!次からもここで排泄しよう」と愛犬に思ってもらえれば、トイレ習得のペースがグンと早まります。

褒めるのと同じくらい重要なのが「失敗しても叱らない」ことです。というのも、粗相を飼い主さんが怒ると、愛犬は「排泄したことを怒られた」と勘違いしてしまうからです。この勘違いはトイレを我慢させることにつながり、膀胱炎や尿路結石の要因になりかねません。愛犬がトイレを失敗してしまったら、決して叱らず、手早く片付けましょう。
ちなみに、トイレに失敗した時の片付けは愛犬をハウスに入れてから行うとよいです。なぜかというと、飼い主さんが床を拭いたりしている一連の動作が遊んでいるように見えることがあるからです。「ここで排泄すると楽しい遊びが始まる!」と思わせてしまうかもしれないので注意しましょう。

トイレトレーニング中に飼い主さんが頑張らなくてはならないのが「愛犬からとにかく目を離さない」ことです。トイレをしつける時は、トイレ以外で排泄しないように徹底する必要があります。そのためには、トイレに行きたそうな仕草を見逃さないことがポイントです。床のニオイを嗅ぎ始めたり、くるくると回り始めたりして落ち着きのない様子がみられたら、すぐにトイレへと連れて行きましょう。この時、トイレの時間を記録しておくと次回以降の参考になります。


トイレを覚えるまでは、根気よく向き合うしかない


犬には「トイレ」という概念がないので、人間が教えるしかありません。まずはトイレ周りの環境を見直してみましょう。そしてトイレに成功したら、しっかり褒めてください。こうしてトイレの成功経験を積み重ねていけば、愛犬はいつか必ずトイレを覚えます。根気よく取り組んでいきましょう。

もしお手上げの場合は、ペットシッターがお力になれるかもしれません。特に仕事などで長い時間を留守にする飼い主さんにとって、愛犬から目を離せないトイレトレーニングは大変なことです。他人の力を借りることもひとつの有効な手となりますので、ぜひお気軽にご相談ください。