「愛犬から信頼されてないかも?」そう思ったら見直したいこと
「愛犬の名前を呼んでも来てくれない」「何回か指示しないと言うことを聞かない」。犬を飼っているとそんな悩みが出てくることがあります。愛犬が指示に従ってくれないということは、もしかして自分はあまり信頼されていないのかも? そう思った飼い主さんがいらしたら、ぜひチェックしていただきたいことがあります。
愛犬のことを従わせよう、と思うのは間違い
まずはじめにお伝えしておきたいのが、「愛犬を従わせよう」とは思わない方がいいということです。
よく知られているのが「主従関係」という考え方です。これは「飼い主さんが主であり、犬は従う存在」という力関係のことをいいます。もし人間と犬の関係性が逆転してしまうとワンちゃんは飼い主さんの言うことを聞かなくなるので、主従関係を人間優位で保つことが必要だ、と考えられてきました。
ところが近年では解釈が変わってきています。主従関係というよりは「信頼関係」という言葉の方が、人間と犬の関係をあらわすのに適切だという考え方が主流になりつつあるのです。
犬の祖先であるオオカミは自然の中で生き残るために、グループのボスに「従って」行動してきたとされていました。しかし実際は従っていたのではなく、優れた者を「信頼して」付いていったからこそ、エサにありつけたり、危険を回避したりして生き延びていたと考えられるようになってきました。
ということで、もし愛犬のことを「従わせたい」と思っている飼い主さんがいらしたら、まずは「愛犬から信頼されたい」という考え方に変えていきましょう。ちょっとした言葉の違いだけのように感じるかもしれませんが、案外大切なことです。
愛犬との信頼関係が弱いかも、と思ったら「指示」を見直そう
愛犬から信頼されていないのかもしれない、そう感じている飼い主さんにはぜひチェックしていただきたいことがあります。
それは、愛犬に伝わる指示を出しているか? ということです。
当たり前のことですが、犬は人間の言葉を理解しません。たとえば「待て」と言えば愛犬がその場でじっと待つようにしつけますが、それは「音」で覚えているのであって、言葉の意味を分かって行動している訳ではありません。そのため、待てと同義である「そこにいて」や「wait」と言ったとしても、その言葉で別途しつけていなければ愛犬には伝わりません。飼い主さんが気ままに言葉を変えてしまうと、愛犬は飼い主さんの言うことを聞きたくても意味が分からず混乱してしまうのです。指示はハッキリとした声で、手短に、いつも同じ言葉を使って伝えるようにしましょう。
もし、いつも同じ言葉で指示しているのに聞いてくれない、という場合は「声の高さ」が原因の可能性もあります。人間がワンちゃんに対して高いトーンと低いトーンで同じ指示を出してみた時に、低いトーンの方が指示が通りやすかったという実験結果が出ていますので、困ったら一度低めの声を試してみてもいいかもしれません。
また、指示を聞いてくれないのは愛犬が興奮状態だったり、何かに集中していたりして「話を聞く姿勢」になっていないことが原因の時があります。愛犬は決して飼い主さんの指示を聞きたくない訳ではないのです。飼い主さんとしては指示ひとつで愛犬を動かしたいかもしれませんが、様子を見て、落ち着かせてあげてから指示するだけでも違ってきます。
このように「指示」ひとつとっても、見直すべきことがたくさんあります。飼い主さんは指示を押し付けるのではなく、愛犬が受け取りやすいように指示をする。愛犬はそれに応える。これを積み上げていくことこそが「信頼関係」であり、目指していきたい関係性です。
愛犬から信頼されたいなら「気まぐれな対応」にも注意
愛犬との信頼関係を強くしたいのなら、飼い主さんが気をつけておくといいことがあります。それは「気まぐれな対応」です。先程ご紹介した、「待て」を様々な言葉で言い替えてしまう話もまさにそうですが、他のシチュエーションでも気まぐれな対応は起こりやすいのです。
愛犬が吠えている時におやつをあげたり、あげなかったり。愛犬が苦手としている爪切りを案の定嫌がられた時に、爪を切るのをすぐにやめたり、やめなかったりしたことはありませんか。このように、愛犬の行動への対応が毎回ブレているとワンちゃんは混乱してしまい、結果として飼い主さんに対する信頼感が弱まってしまうのです。
ワンちゃんが人間社会の中で生きていくためには、飼い主さんを頼らなければなりません。愛犬はいつも楽しく遊んでくれる飼い主さんのことを全力で信頼したいと思っています。だからこそ、飼い主さんもその思いに応えるべく、一貫した姿勢で愛犬を導いてあげてください。
双方向の「信頼関係」で愛犬との仲を深めよう
飼い主さんが愛犬と向き合おうとする姿勢は、必ずワンちゃんに伝わります。愛犬に分かりやすく指示をすることや、気まぐれな対応は避けることを心がけていれば、自然と信頼関係は築かれていくものです。
「従わせる」という一方的な関係ではなく、双方向の「信頼関係」で愛犬との仲を深めていきましょう。