VOL.2

飼い犬が人を噛む…噛みグセの原因と治し方


■いつの頃からか、愛犬が噛むようになりました

「かわいがって育てていた愛犬が、最近噛むようになって怖いんです…。」

そんなお話しを耳にすることが、ちらほらあります。「ワンちゃんが噛んできた!」と飼い主さんが認識するレベルということは、甘噛みではなく結構力を入れて噛んでくる状態を指していることも多いです。こうなってくると、よその人を噛まないか心配になって、楽しいお散歩のはずが飼い主さんは不安だらけ…という状況に陥ったりします。

とはいえ、今からでもしつけたい気持ちはあっても、どう手を打つべきか悩みますよね。特に、飼い主さんに恐怖心が出てきてしまった段階だと、自分もなるべく噛まれたくないという思いがあるのでますます対処しづらくなってしまいます。どうしたら、犬の噛むクセは治せるのでしょうか。


■噛んでしまう理由は「ストレス」かも? 噛みグセの3つの理由とは?


ワンちゃんが噛んでしまう原因は、大きく分けて3つあると考えられています。

①ストレス
ストレスで噛んでしまう背景としては、愛犬の周りに何か「怖い!不安!嫌だ!」といったマイナスの感情を抱かせてしまう原因があることが挙げられます。ストレスの原因を飼い主に取り除いてほしくて、一生懸命アピールするために噛んでしまうのです。

②しつけ不足
特に、子犬の頃に甘噛みするのを許されてきたワンちゃんが多い印象があります。甘噛み自体は、ワンちゃんにとって「じゃれている」だけであり悪いことではありません。とはいえワンちゃんが成長すれば、噛む力が強くなるのは当然のことです。飼い犬ともなると人間社会で暮らさなければならないので、噛む時の力加減を学んでおく必要があったのです。

③防御反応
本能的に身を守るために噛むこともあります。たとえば突然触られてびっくりした時がそれに当たります。触った側としては愛でるつもりだったのに、ワンちゃんからすると攻撃だと思われてしまった。そんな悲しいすれ違いもあったりします。

また、防御反応が出るもうひとつの例としてちょっと怖いのは、実は病気やケガをしていたというパターンです。飼い主さんの知らないところでケガをしていて、その患部に触れられたことで痛くて噛むことがあります。


■どうすればワンちゃんが噛まなくなる?


先ほどご紹介した通り、愛犬が噛む理由は基本的に3つ(①ストレス、②しつけ不足、③防御反応)ありました。ということで、まずは愛犬がどんな時に噛むのか、まずは観察する必要があります。観察して、原因になりそうなものをひとつずつ無くしていきましょう。

原因の①であるストレスを取り除くためには、日常生活の中でワンちゃんが何に対して嫌がっているのかを見つけるために、愛犬と過ごす時間を多く取るようにしましょう。

なかなか手がかかるしれませんが、飼い主さん側が根気よく向き合うことが大切です。もしかすると、観察のために愛犬との時間が増えたことで、実は「寂しい」と思っていたワンちゃんのストレスが解消されることもあり得ます。

②のしつけ不足で噛んでしまう場合は、ワンちゃんに「噛むと嫌なことをされるからもう噛むのはやめよう」と思わせる必要があります。

そのためには、愛犬が噛んできた時に、あえて噛まれた部分を愛犬の口元に押し付けるのが効果的です。ともすると飼い主さんのケガになりかねないので要注意の方法ではありますが、ワンちゃんにとってモノを口に押し付けられるのは嫌なことにあたります。手や腕にタオルを巻いておくなど、お互いにケガしない対策をした上で行うと良いでしょう。

③の防御反応のうち、突然触ることでワンちゃんを驚かせてしまうことについては、飼い主さんがびっくりさせないように気を付けておけば回避できます。たとえばもし、お散歩中に近所のお子さんが近づいてきてワンちゃんにいきなり触ろうとしたら、そこで「ワンちゃんがびっくりしちゃうから、ゆっくり触ってごらん」などと一声かけてあげるだけでも変わってきます。

また、原因が何であれ、試してみると良いのが「噛めるおもちゃ」です。

無理に噛むことを辞めさせてしまうと、それはそれで愛犬にストレスを与えかねません。ですが、噛めるおもちゃがあれば、ワンちゃんはおもちゃを思う存分噛むことでスッキリできることがあります。運動量の確保にもつながるので、まだおもちゃを使ったことがないのであれば、一度導入してみるといいかもしれませんね。


■本当は、噛むクセがつく前に対処するのが一番です


ワンちゃんの噛むクセは、一度習慣になってしまうと辞めさせるのが大変です。飼い主さんや周りの人をケガさせることにもつながるので、「最近噛むかも?」と思ったら、早めに手を打ちましょう。なかなかうまく対処できなければ、かかりつけの獣医さんに相談するのもアリです。

ちなみにペットシッターでは、あまりに噛みグセが激しいワンちゃんは預かれないことがあります。外出予定があるのに、噛みグセがあるから預けられない…なんて事態は避けたいところですよね。

ワンちゃんが噛まないようにするためには、とにかく普段からストレスの原因を取り除いておくことが予防として大切です。予防策のひとつとして、家族以外にもワンちゃんの理解者を増やしておくと安心ですね。飼い主さんとしても心強くなりますよ。

獣医さんやペットシッターを日頃からうまく利用して、飼い主さんとワンちゃんが悩みを抱え込まないようにしてみてくださいね。