VOL.5

猫が脱走しないか心配…脱走を防ぐためにできること


「猫を探しています」という張り紙やSNSの投稿を見かけるたびに、「うちのネコちゃんが脱走してしまったらどうしよう…」と心配になる飼い主さんは多いのではないでしょうか。

猫は身軽でジャンプ力も備えています。そのため、どれだけ飼い主さんが気をつけていても、愛猫はほんの一瞬で外に飛び出してしまうものなのです。外の世界には危険がたくさんあるので、できれば脱走させたくないですね。

今回は、猫の脱走を防ぐためにできることをご紹介します。


●猫が脱走する理由はさまざま


ネコちゃんは前回のコラムでもご紹介した通り、家になつく生き物です。飼い猫は自宅に縄張り意識を強く持っているので、基本的には外に出なくてもストレスはかかりません。

しかし、それでもふとした拍子に脱走してしまうことがあります。主な原因は次の4点です。

①窓やドアが開いたから
②発情期
③環境が変わって不安だから
④窓やキャリーバッグの破損など、事故的要因

ひとつずつ解説していきます。

①窓やドアが開いたから

これが脱走の理由として一番多いのかもしれません。ごくシンプルに、目の前の窓が開いたから。なんとなく気になったので外に出てみた、というのが脱走の理由です。

窓やドアが開くタイミングは1日に何度もあります。飼い主さんがどれだけ気をつけていても、ちょっとのスキに出来心で飛び出してしまうことがあるのです。

特に、元々が野良猫など外の暮らしを経験したことのある猫だと、外の世界に対する興味が強いです。そのため、外に出ようとして窓やドアの開くタイミングを伺っていることも考えられます。

②発情期

去勢・避妊を済ませていない場合、猫は相手を求めて外に飛び出してしまうことがあります。春から秋にかけて、いつもとは違う鳴き声を出していて、なんだか落ち着きがない様子であれば発情しています。これは習性なので止めようがないことです。

③環境が変わって不安だから

猫は環境変化をとにかく嫌います。たとえば引っ越しをした直後は、前の住環境を求めて脱走してしまうことが起こり得ます。また、新しく他のネコちゃんを一緒に飼い始めた時も、自分の縄張りに知らない猫が入ってきたことになるので警戒し、脱走してしまう可能性があります。

④窓やキャリーバッグの破損など、事故的要因

地震で窓ガラスが割れてしまったり、キャリーバッグが壊れたりして、驚いたネコちゃんが飛び出してしまうことがあります。このような不測の事態は、飼い主さんがいくら気をつけていても、防ぐのは難しいかもしれません。


●猫の脱走を防ぐためにできることとは?


愛猫の脱走を防ぐためにできることをいくつかご紹介します。

①猫用フェンス・引き戸専用ロックの設置

玄関や窓に「猫用フェンス」を設置しておくと猫が通れなくなるので脱走防止に効果的です。賃貸の場合は突っ張り棒のタイプを選ぶと、壁を傷つけずに済むので安心です。

ちなみに、小柄なネコちゃんであれば6?7cm程度の隙間があれば通り抜けられます。人間が思っているよりも細い隙間でもくぐり抜けてしまうので、猫用フェンスを設置する際は壁との隙間が広くならないように気を配っておきましょう。

また、スライド式の引き戸や網戸を器用に開けられるネコちゃんも時々いるので、引き戸に差し込むだけで簡単にロックできる「引き戸専用ロック」を併用するとさらに安心です。

②部屋の中で十分に遊べるようにする

室内飼いであっても、運動量の確保は大切です。お部屋の中でしっかりと遊べていれば、外に出たいと思う気持ちを抑えることにもつながります。

ネコちゃんが飛び乗って遊べるようなキャットタワーや、本棚などの高さがあって登れるような家具を配置して、お部屋の中でたくさん遊んでもらいましょう。


③去勢・避妊手術をする

去勢・避妊手術は、発情期が始まる前(生後6?7ヶ月頃まで)に行うのがベターです。もしまだ済ませていないようであれば、脱走リスクを減らせるという点でも早めの手術を検討した方が良いでしょう。

④窓や玄関の出入りの時は、猫がいないか周りを確認

基本的な動作ではありますが、飼い主さんが出入りする際は周りに愛猫がいないかよく確認する習慣を引き続き継続していきましょう。①?③の対策をしたからといって油断は禁物です。

⑤迷子札・マイクロチップをつける

これは、愛猫が脱走してしまった場合に早く見つけるための対策です。理由④で紹介したような不測の事態への対処法でもあります。

「首輪が付いていれば良い」と思っている飼い主さんもいるかもしれませんが、首輪だけでは不十分です。迷子札と併用すると、飼い主さんの元に帰ってくる可能性がグンと上がります。

また、猫の首元に埋め込む「マイクロチップ」も飼い主を見つけ出すために有用です。令和元年の法改正でも、販売業者に対して犬猫にマイクロチップを装着するよう義務付けられました。今後はマイクロチップの導入がますます進んでいくと思われます。地域によっては、マイクロチップを飼い猫に装着するために助成金を出してくれるので、愛猫にまだ着けていないようであれば一度検討してみても良いでしょう。


●猫を守るために、今一度環境を見直してみませんか


愛猫の脱走はほんの一瞬で起こる出来事です。

飼い主さんの思い入れとは関係なく、脱走できる環境が揃ってしまえばネコちゃんは飛び出していってしまいます。

できるだけ脱走を防げるように、また、脱走してしまってもすぐに見つけられるように、今のうちから対策をしておきましょう。