VOL.14

猫に食べさせるなら、十分に注意したい食べ物


前回の記事では「猫に絶対に食べさせてはいけないもの」をご紹介しましたが、じつは猫に危険をもたらす人間の食べ物は他にもたくさん存在しています。というのも、人間の食べ物は猫にとって栄養分が過剰に含まれていたり、味付けが濃すぎたりするからです。これらは前回ご紹介したもののようにすぐ悪影響をもたらす訳ではありませんが、一度に大量に摂取したり、継続して食べ続けることで、猫の体調を悪くしてしまう可能性があります。

本来ならば、愛猫にはキャットフードだけを与えたいところです。ところが、ネコちゃんが人間の食べ物に興味津々だったり、飼い主さんのご家族の中に「これくらい食べさせても大丈夫だろう」という考えの方がいたりすると、愛猫がいつの間にか人間の食べ物を口にしてしまうことがあります。また、飼い主さんがしっかりと注意していたとしても、ふとした瞬間に愛猫が食卓でサッとつまみ食いしてしまうことも十分に起こり得ます。

もし愛猫が人間の食べ物を食べたとしても、飼い主さんにきちんとした知識があれば必要以上に慌てずに済みます。ここでは「人間の食べ物は基本的に与えない」ということを大前提にしたうえで、「もし食べさせるなら注意しておきたい食べ物」をご紹介します。ぜひ頭に入れておいてください。


猫は肉食・人間は雑食


まず最初に認識しておきたいのは「猫は肉食であり、人間は雑食である」ことです。

犬は人間と長く暮らしてきた中で「雑食」にも対応できるようになってきたのですが、猫はそうではなく、今もなお肉食動物として生きています。猫にとって一番必要な栄養素は動物性タンパク質。つまりお肉のことです。

人間だと、よく「お肉だけじゃなくて野菜を食べないと不健康になる」といわれますね。これは、野菜には栄養素がたくさん含まれているので人間にとっては有益な食べ物だからです。ところが猫は違います。たとえば「食物繊維」については、猫は人間よりも腸の長さが短いため、消化不良を起こしてしまう原因となってしまうのです。

このように、人間には良い効果の食材であっても猫には不必要で、むしろダメージを与えてしまうことがあります。人間の健康を基準にして猫に食べ物を与えることは、愛猫の健康を害するリスクが高いことを覚えておきましょう。


猫に牛乳はあまり良くないって本当?


ネコちゃんがミルクをおいしそうにペロペロと舐めている、そんなシーンが出てくる有名な海外アニメをご覧になった方は多いのではないでしょうか。猫は牛乳を好んで飲む、というイメージがあるかもしれませんが、じつはお腹を壊す可能性があるので注意が必要です。

これは人間用の牛乳に含まれる「乳糖」が原因です。乳糖を分解するための酵素が少ないネコちゃんは、乳糖を消化しきれません。「乳糖不耐症」といって、下痢や嘔吐の症状が出てきます。

子猫は母乳を飲んでいるので、牛乳を与えても大丈夫だろうと思うかもしれません。しかし「猫の母乳」と「人間用の牛乳」は成分が異なるため、似て非なるものです。子猫が下痢を起こして重症化すると危険なので、人間用の牛乳は与えないようにしましょう。


「猫の好物は魚」と思っていませんか


「猫にミルク」と同じように、「魚をくわえた猫」の姿も有名アニメのテーマソングで登場していたのをご存知でしょうか。猫が生魚をくわえて駆け出していくシーンを見て、猫は魚好きだと思っている人も多いのかもしれません。

猫は肉食なので、魚は問題なく食べることができます。ただ、魚を与える際にはいくつか気をつけておきたいポイントがあります。

まず、必ず加熱することです。生魚には猫にとって害となる酵素や寄生虫がいる可能性があるためです。加熱することで無害化するのでしっかりと火を通しましょう。次に、加熱したら身を確認して骨をとってあげます。骨をそのまま飲み込んでしまうと内臓を傷つける可能性があるので入念にチェックすると安心です。

また、魚は魚でも「干物」は避けましょう。干物には塩気が多く含まれているためです。ほか、青魚(サバやアジなど)に含まれる「不飽和脂肪酸」は猫が多く摂取すると「黄色脂肪症」という炎症の原因になりますので、与えるにしてもごく少量にとどめておきましょう。


十分に注意しておきたい食べ物は他にもたくさん


猫にとって危険をもたらす食べ物は他にもたくさん存在しています。

・食物繊維の多いもの(キャベツ・枝豆・きのこ類など)
猫の腸には食物繊維を消化するだけの長さがないため、消化不良の原因になります。

・カリウムの多いもの(そら豆・スイカなど)
腎臓に病気のある猫の場合、カリウムを体外にうまく排出できなくなるため要注意です。

・塩分の多いもの(塩茹でした野菜・ハムなど)
刺激が強いため嘔吐してしまったり、泌尿器系の病気の要因になり得ます。猫に野菜や魚を茹でてから与える場合、味付けは不要であることを覚えておきましょう。元々塩分が含まれているハムなどの食材は、必ず塩抜きをしてください。

・ミネラルの多いもの(ミネラルウォーター・わかめなど)
ミネラルは必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると尿結石の原因になります。

繰り返しになりますが、「人間にとって身体に良い食べ物だから、猫にも良いだろう」という考え方は危ないです。愛猫に何らかの人間の食べ物を与える場合は「もしかしたら何かリスクがあるかもしれない」と思うようにしましょう。

たとえ問題ない食べ物であったとしても、与え方には十分注意し、食後はしばらく愛猫の様子を観察しておくと安心です。もし具合が悪くなった場合は自分で対処しようとせず、すぐ獣医さんに相談です。愛猫との健康的な暮らしを、正しい知識でしっかりと守っていきましょう。