愛猫が夜鳴きをして困っている時の対処法
ネコちゃんを飼っていると、突然早朝や夜に鳴くようになって困ることがあります。今まではおとなしかったのにどうして夜鳴きするのか原因がわからず、鳴かないようにしつけたくてもうまくいかずにモヤモヤと悩んでいらっしゃる飼い主さんは少なくありません。今回は、猫が夜に鳴いてしまう原因と対策をご紹介します。
猫は「薄明薄暮性」、夕方と早朝が一番元気な時間帯
まずはじめにお伝えしたいのが、ネコちゃんは薄明薄暮性だということです。猫は夜になると目が光っていたり活発に動いたりしている様子から、猫=夜行性という認識が広まっているようですが、厳密には「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」という性質を持っています。
薄明薄暮性とは薄明るくて薄暗い時間帯、つまり早朝や夕暮れ時にもっとも活動する習性のことです。そのため、たとえば朝の4時台に愛猫が鳴くのは、いわば猫の習性通りの行動です。しかし人間にとって早朝は睡眠中だったり、夕方はそろそろ活動をやめてゆっくりしようと思う時間帯。猫と人間は、そもそも活動時間がすれ違っているのです。
ということで、夜鳴きする愛猫が悪いのではありません。猫と人間の生活スタイルが基本的にずれているために、猫の夜鳴きが人間にとって困った行動になってしまうのです。このことをまず頭に置いておいてください。
<全年齢共通>夜鳴きの原因と対処法
ネコちゃんが一番活発になる早朝や夕方に鳴くという行動を取るのは、それだけ主張したいこと、つまり何らかの理由があるから夜鳴きをしているのです。その理由を突き止めて改善できれば、夜鳴きはおさまります。まずはどの年齢層のネコちゃんでも当てはまる原因を3点ご紹介します。
まず1点目は「ストレス」です。たとえば引っ越しをしたり、新しい猫をお迎えして多頭飼いをスタートさせたりして住環境が変わると、ネコちゃんは大きなストレスを受けます。猫は住環境が変わることを嫌うので、引っ越しや飼い猫を増やす時にはしっかりしたフォローが必要です。愛猫のニオイがついている物や馴染みのアイテムを極力残し、愛猫だけの落ち着ける空間を確保してください。
また、運動不足やトイレが汚いこともストレスの要因となります。お部屋の中に愛猫が上り下りできるような高さのある家具が少ない場合は運動不足になりやすいので、インテリアを見直してみましょう。また、トイレの掃除はこまめに行い清潔感を保つことが大切です。もしかすると愛猫の成長に伴ってトイレが小さくなっている可能性もありますので、必要に応じて大きいサイズのトイレに変えると安心です。
夜鳴きの2点目の理由は「空腹」です。夕食から翌朝のごはんまでの間にお腹が空いてしまって、空腹感に耐えられず夜鳴きしてしまうケースがあります。この場合は食事の時間帯を変更するか、食事の回数を増やして対処しましょう。食事の回数を増やすのであれば、1回あたりの量を減らして1日に与える総量は変えないのがポイントです。1回の量を減らさずに回数を増やしてしまうと肥満につながるので気をつけましょう。
そして3点目の理由は「病気」です。腎臓や甲状腺などに病気があると夜鳴きをすることがあります。病気にかかっていると排泄の調子が悪くなったり、食欲が普段と変わってきたりと、夜鳴き以外にも変化が出ているかもしれません。愛猫の様子をしっかり観察し、気になる変化があるようでしたら早めに獣医さんへ相談しに行きましょう。
<年齢別>夜鳴きの原因と対策
ネコちゃんが夜鳴きする原因は、その年齢ならではの理由が原因となっているケースも多いです。ここからは、子猫・成猫・老猫に分けてご紹介していきます。
まず子猫時代の夜鳴きについては「寂しさ」が理由の場合が多くみられます。母猫や飼い主さんが近くにいないと寂しくて、かまってほしい思いから夜鳴きするようです。また、新しく飼い始めたばかりのタイミングだと慣れない環境への不安感もあるため、より一層寂しさを感じていることがあります。
もし「寂しさ」からくる夜鳴きだと考えられそうであれば、飼い主さんとしては心苦しいかもしれませんが、鳴いていても駆けつけたりせず無視をします。これは「鳴けば飼い主さんが来る」と学ばせないためです。その代わり、寝床に飼い主さんのニオイがついたタオルを入れたり照明の調整をしたりと、環境を整えてあげてください。環境で安心させ「寂しさ」を解消しましょう。
成猫が夜鳴きする場合は「発情している」可能性があります。これは動物であれば自然なことです。愛猫に子どもを設けてほしいと考えているのなら話は別ですが、避妊・去勢手術をすると発情はおさまります。オスのネコちゃんの場合は手術するとスプレー行為(おしっこの濃いものを吹きかける、マーキング行為の一種)の減少にもつながるので、去勢手術を検討してもいいかもしれません。
老猫の夜鳴きは「認知症や痴呆症」の症状から引き起こされているかもしれません。視力や聴力が衰えるなどして周囲の状況をうまく把握できなくなってくると、不安感から夜鳴きをすることがあります。うなるような鳴き声をしていたり、ぼんやりと一点を見つめながら夜鳴きしている様子がみられたら、獣医さんに一度相談してみることをお勧めします。
鳴かないようにしつけるのではなく、環境の改善を
飼い主さんとしては「しつけで夜鳴きを何とかしよう」と考えていたかもしれませんが、夜鳴きは環境を見直すと改善できます。まずは愛猫の様子を改めて観察してみて、環境を少しずつ手直ししていきましょう。それでも夜鳴きが改善しなければ、思いがけず病気が隠されている場合があります。早いうちに獣医さんに相談すると安心です。
ネコちゃんを飼っていると、時に飼い主さんひとりの力では解決できない悩みに直面することがあります。何とか自力で対処したいという気持ちもわかりますが、第三者が様子を見ることですんなり解決する場合もあります。なかなか解決しない悩みは抱え込みすぎず、かかりつけの獣医さんや私たちペットシッターを頼ってくださいね。