VOL.13

猫に食べさせてはいけない食べ物とは?


猫の飼い主さんであれば、猫に食べさせると危ない食べ物があることはご存知かと思います。ところが実際に猫を飼っていると、愛猫が人間の食べ物に興味津々な様子を見せるので、ふと「これなら猫に食べさせても大丈夫かも?」と迷ってしまうことがあるものです。

たしかに猫が食べても問題ない人間の食べ物はたくさんありますが、中には猫の具合を悪くする食べ物や、命の危険をもたらす食べ物があるのも事実です。今回の記事では「猫に絶対食べさせてはいけない食べ物」をご紹介しますので、あらためて頭に入れていただき、愛猫を危険から守ってあげてください。


猫に食べさせてはいけない食品【野菜・果物】


・ネギ類(玉ねぎ、ねぎ、にんにくなど)
ネギ類には猫の赤血球を破壊する成分が含まれているため、貧血や血尿といった症状の原因となります。ともすると呼吸困難を起こすこともあるので徹底して避けるべき食材です。ネギ類の怖いところは、加熱しても猫の害となる成分が分解されない点です。そのためネギを使用した煮汁やオニオンスープなど、調理済みのものも危険なので十分に注意しておきましょう。

・アボカド
嘔吐や呼吸困難といった中毒症状を引き起こす成分がアボカドに含まれています。どのくらいの量で発症するかが解明されていないので、ごく少量であっても与えないのが無難です。

・ゆり根
腎機能にダメージを与える成分があるといわれています。ちなみにユリ科の植物は花や葉っぱの部分も猫の中毒を引き起こしますので、花束を飾る時はユリが混ざっていないかどうかよく確認しましょう。

・ぶどう
ぶどうもゆり根と同じく腎機能にダメージを与えてしまいます。生のぶどうだけではなく、レーズンも同様です。ぶどうに含まれる何の成分が害なのか判明していないので、現時点では一切与えないでおくのが賢明です。


猫に食べさせてはいけない食品【肉類・魚介類】


・生肉
生肉にはさまざまな菌や寄生虫が存在しており、感染すると下痢や嘔吐の症状が出ます。愛猫が大腸菌中毒にかかった場合、猫の便などを介して飼い主さんにうつる可能性もあるので注意が必要です。猫も人間も、お肉は加熱して食べましょう。

・生の魚介類
生の魚介類にはビタミンを分解するチアミナーゼという酵素があります。この酵素が猫の体内に入りこむとビタミンB1欠乏症を引き起こします。足に力が入らなくなったり、意識障害の症状が出たりします。チアミナーゼは加熱すれば酵素としての働きを失うので、魚や貝を与える場合は必ず加熱しましょう。

・アワビ、サザエ
貝類の中でもアワビやサザエには、食後に日光を浴びることで皮膚炎を起こす原因となる成分を含んでいます。この成分は加熱してもなくならないので、食べさせないようにしましょう。


猫に食べさせてはいけない食品【その他】


・チョコレート
カカオに含まれる成分が猫にとって害となります。そのためカカオの濃度が高いビターチョコレートは特に危険度が増します。下痢や発熱、最悪の場合死んでしまう恐れがあるので絶対に与えないでください。

・キシリトールを含むもの
キシリトールとは人工甘味料のことで、よくガムやキャンディーなどに含まれています。キシリトールを猫が摂取すると低血糖状態となり、けいれんや肝障害を引き起こすことがあります。

・カフェインを含むもの
カフェインには人間の中枢神経を刺激して眠気や疲労感をおさえる作用がありますが、猫の中枢神経にも強く働きかけます。カフェインを摂取した猫は興奮状態となり動悸や嘔吐、ふらつきなどの症状が出るほか、場合によっては心臓に悪影響を及ぼすことがあります。

・アルコール
猫は人間と違って、体内にアルコールを分解する力がありません。そのためごく少量であってもアルコール中毒を発症し、ともすると死に至る可能性があります。


もし愛猫が危険な食べ物を摂取してしまったら


飼い主さんが「猫にとって危険な食べ物」を把握して日々気をつけていたとしても、何かの拍子に愛猫がそれを食べてしまうことは起こり得ます。

もし愛猫が今回ご紹介した危険な食べ物を摂取してしまったら、とにかく早く獣医さんの元に連れて行きましょう。その際、気をつけておくといいことが2点あります。

・いつ、何を、どのくらいの量を食べてしまったのかメモしておく
・食べてしまったものの残骸やパッケージがあれば持っていく


これらの情報があると獣医さんも治療の方針が立てやすくなり、スムーズな対処につながります。飼い主さんとしては慌ててしまう状況ですが、一旦落ち着くのが大事です。状況を整理したうえで、すみやかに獣医さんに相談しましょう。

ちなみに、インターネット上で時折見かける情報に「危ない食べ物を食べてしまったら、まず吐かせる」というものがあります。たしかに「吐かせる」ことは獣医さんの治療手段のひとつです。ただ、素人がそれをやってはいけません。素人が無理に吐かせると、喉を傷つけるなど、愛猫の症状をかえって悪化させてしまうことがあるからです。一刻を争うからこそ、自分で対処しようとせず、獣医さんを頼りましょう。

今回は「猫には絶対に食べさせてはいけないもの」でしたが、実は「食べさせるなら注意が必要」な食べ物もたくさん存在します。それは次回ご紹介しますので、今回の分とあわせてぜひ覚えてほしいです。危険な食べ物をマスターして、愛猫との暮らしをより安全なものにしていきましょう。