猫は環境変化が苦手!環境が変わるのを嫌う理由と対策
「愛猫の様子がいつもと違う」。もしそう思うことがあったら、ネコちゃんを取り巻く環境が変わっていないか振り返ってみることをおすすめします。
じつは、猫は環境の変化が苦手です。たとえば最近お部屋の模様替えをしませんでしたか? 友人を家に招いていませんか? このような、人間にとっては変化でさえない出来事であっても、ネコちゃんには大きなストレスになることがあり、ともすると体調を崩してしまう一因にもなってしまうのです。
今回は、猫にとって環境変化が苦手な理由をご紹介するとともに、ネコちゃんが嫌がる環境の変化の種類や、環境が変わってしまった時の対策についてご紹介していきます。
●犬は人になつき、猫は家になつく!猫が環境変化を嫌うのは「習性」
ペットの犬と猫はよく対比されます。犬と猫は見た目だけではなく、性格も習性も異なっているわけですが、その中でも犬と猫の大きな違いがあります。
それは「犬は人になつき、猫は家になつく」ということです。
犬が飼い主さんやその家族に対して深い忠誠心を示してなつくのに対し、猫は自分が住んでいる家に対して縄張り意識や愛着を持ってなついています。つまり、猫が住環境の変化で受ける衝撃は、犬の飼い主が知らない人に変わることで犬が受ける衝撃と同じようなものである、ということです。そう考えるととても大きなインパクトですね。
犬が人になつき、猫が住環境になつくことはいずれも動物の習性です。だからこそ、ネコちゃんは習性に反してしまう「環境変化」が苦手だというわけです。
ということで、そもそもネコちゃんにとって住環境は極力変えたくない大切なものであるということを、まず頭に置いておいてください。
●猫にとって「環境変化」とは?変化からくるストレスの症状は?
では、ネコちゃんにとって「環境変化」とはどんな出来事を指すのでしょうか。いくつか具体例を挙げてみます。
・自宅に友人や親戚(=猫にとっては知らない人)が遊びに来た
・引っ越しをした
・模様替えをして、家具やカーペットが一気に新調された
・お部屋のフレグランスが変わった
・猫用の食器やトイレ砂など、毎日使うものが変わった
「引っ越し」は人間にとっても大きな環境変化なのでわかりやすいと思いますが、それ以外は些細な変化だと捉えてしまいがちではないでしょうか。猫にとっては、このような「人間にとってはちょっとした変化」も、ストレスの原因になってしまうのです。
環境の変化でストレスを感じた猫は、次のような行動を取ったり、症状が出てきたりすることがあります。
・知人や親戚のカバンや持ち物におしっこを引っ掛ける
・家出する
・下痢や脱毛を起こす
・食欲がなくなる
・突発性膀胱炎にかかる
どれも困ってしまうものばかりですね。特に、ネコちゃんの健康に関わる問題につながってしまうのは怖いところです。
とはいえ、愛猫の環境変化を避けたいから人間が模様替えを我慢したり、自宅に友人を呼ぶのをやめるのは難しいことでもあります。ということで、ネコちゃんにかかるストレスを軽減させる対策をご紹介します。
●友人や知人を自宅に招いた時の対策
まずは、愛猫の特性を理解しておくことが大前提です。「猫は人見知りをしがち」といわれますが、個体差があります。自分の愛猫がよその人に対してどういう反応をする傾向にあるのか、日頃から様子を見て把握しておきましょう。そのうえで、できる対策が2点あります。
①隠れられる場所を作っておく
たとえ飼い主さんの知人であったとしても、猫にとっては知らない人。知らない人が住環境に入ってきたら、誰だって警戒心を抱きますよね。それは猫も同じです。
愛猫が身を潜めてお部屋の様子を伺えるようなキャットドームや、それに似た場所を作ってあげると安心です。
②無理に引っ張りださない
友人が猫好きだから大丈夫、と思って無理に愛猫を呼び寄せるのも避けたほうがいいです。友人の「ネコちゃんと触れ合いたい」という気持ちよりも、愛猫の「様子を見ていたい」という気持ちを優先すべきです。
愛猫が影に隠れているようであれば、そのままそっとしておいてあげましょう。
●模様替えや引っ越しした時の対策
模様替えや引っ越しは、住環境がガラリと変わりやすいタイミングです。飼い主さんにとっては、せっかくのタイミングなので色々と変えたくなると思いますが、ネコちゃんのために次のような工夫をすると安心です。
①一気に家具やカーペット類を新調しない
おなじみの家具がなくなると猫は動揺してしまいます。しかも、一気にすべての家具が変わってしまうと猫にとって大きなストレスの元となります。
家具類はできるだけ少しずつ変えていくようにしましょう。愛猫のお気に入りの家具はできるだけ残すようにしながら、他を変えていって少しずつ慣らしていくのもひとつの手です。
②トイレ用の砂や猫用の食器を一気に変えない
ネコちゃんが毎日使っているものが、ある日突然変わってしまうのもストレスの要因です。猫は自分のにおいを感じることで安心感を得ていますので、これらを一気に変更するのは避けるのが吉です。
特に引っ越しの場合は、猫にとっても環境の変化があまりに大きいです。トイレ用の砂は必ず、前の家で使っていたものを持ち込むようにしましょう。
③キャリーバッグに慣らしておく
愛猫お気に入りのキャリーバッグがあると、模様替えや引っ越しの際に役立ちます。「ここに入っていればとりあえず安心」という空間があれば、たとえ周りの環境が変わっていったとしても、徐々に慣らしていくことが可能になるからです。キャリーバッグに慣れていれば移動も楽になりますので、愛猫がお手持ちのキャリーバッグに慣れ親しんでいるかどうか、この機会に一度確認してみてはいかがでしょうか。
●環境を変えざるを得ない時は、少しずつ
ネコちゃんが環境の変化を嫌うのは、習性なので変えようがないことです。だからこそ、飼い主さんがその習性を理解しておくことが大切となってきます。
飼い主さんの少しの気遣いで、愛猫にかかるストレスは減らせるものです。環境を変えざるを得ない時は、猫の様子を見ながら少しずつ変えるように心がけていきましょう。